絶対音感は生まれつきの能力だと思っている方も多いと思いますが、絶対音感は先天的な能力ではありません。
正しいトレーニングさえすれば、誰にでも身に付けることができる後天的な能力です。
江口式絶対音感トレーニングは、6歳半までに始めることを推奨しています。
6歳半という年齢は、一音会ミュージックスクール創業者 江口寿子さんが長年の研究によって導き出しました。
一音会ミューックスクールで絶対音感を身に付けた有名な方といえば、2021年のショパンコンクールで、日本人で初めて2位をとった、反田恭平さんです。
江口式絶対音感は、教室に通わなくても本から学ぶこともできます。
【江口式絶対音感とは?本でも学べる旗を使ったトレーニング方法を紹介!】についてお伝えします。
目次
絶対音感は耳の発達が関係する
まず、上のグラフを見て下さい。赤い線は人間の耳の発達を示しています。
なぜ6歳半までにトレーニングを開始しなければ絶対音感を身に付けることができないのか。
それは人間の耳の発達が深く関係しています。
人間の耳の発達は、6歳か7歳頃までに殆んど完了し、8歳頃には完全に発達が止まると言われています。
絶対音感トレーニングは耳の発達が完了する前にしなければいけません。
「音を絶対的に聴き分ける鋭い耳の感覚」をつくるためには、耳の発達が終わってからでは遅いです。
トレーニングは通常1年半程度かかるため、耳の発達が完全に終わる8歳から逆算して、遅くとも6歳半から絶対音感のレッスンを始める必要があります。
このタイムリミットは、江口寿子氏が多くの子供たちに指導を行ってきた経験からはじきだされた期限です。
8歳を過ぎてからトレーニングをして、絶対音感をつけた例はわずか1例だと言われています。
江口氏が推奨するトレーニング開始時期は2歳代です。
6歳半までにトレーニングを始めなければ、そのあとの人生でどんなに努力をしても絶対音感を身に付けることはできません。
江口氏は30年間にわたり、1万人以上の子供たちにトレーニングを行い、絶対音感をつけましたが、ご自身が絶対音感をつけることはなかったといいます。
このことから、江口氏本人が、大人になってからトレーニングをしても、絶対音感をつけることは不可能であることを証明しています。
江口式絶対音感プログラムの実績
一音会ミュージックスクールでは、1970年代から江口式絶対音感プログラムを導入し、1万人を超える生徒が絶対音感を身につけています。
今のところ、確実に絶対音感を身に付けられる方法は、江口式絶対音感プログラムの他にありません。
江口式絶対音感プログラムは、1982年に日本で初めて公表されて以来、国内外の学会で注目を集め、ワシントンポストでも取り上げられました。
江口式絶対音感プログラムとは
江口式絶対音感プログラムは、旗を使ってトレーニングを行います。
和音の響きを旗の色で答えさせます。
例えば、ドミソの和音を弾いたら、子供に赤い旗をあげて「赤」と声に出して答えさせるようにします。
旗の色は全部で14種類あるので、14種類の和音の響きを覚えさせます。
全ての和音の響きがわかると、単音でも聴き分けることができるようになるのが、江口式絶対音感プログラムのやり方です。
和音を覚えることは人の顔全体を見て誰だか分かることにあたります。
それに対し、単音が分かることは、人の目だけを見て誰の目かが分かることにあたります。
まず先に顔全体を覚えてしまえば、目だけを見ても誰の目か分かるというわけです。
江口式絶対音感プログラムで絶対音感を身に付ける方法
教室で絶対音感の指導ができる先生から学ぶ
一音会ミュージックスクールでは、2歳から絶対音感を学べるレッスンコース(4400円~/月4回)があります。
教室は東京都豊島区のみ、6ヵ所あります。
・ショパンはうす
東京都豊島区長崎1-20-7
・ヘンデルはうす
東京都豊島区長崎1-17-10
・リストはうす
東京都豊島区長崎1-20-5
・バッハはうす
東京都豊島区長崎2-3-19
・モーツァルトはうす
東京都豊島区長崎1-16-7
・ベートーベンはうす
東京都豊島区長崎1-18-8
一音会ミュージックスクールは残念ながら東京都豊島区にしかありません。
一音会ミュージックスクール以外で、江口式絶対音感プログラムで絶対音感の指導されている先生は沢山いらっしゃるので、自宅から近い教室をご希望の場合は、ご希望のピアノ教室等に問い合わせてみると良いと思います。
通信教育で学ぶ
自宅の近くに江口式絶対音感プログラムで絶対音感の指導ができる先生がいない場合、一音会ミュージックスクールの通信教育を受講するのが確実な方法と言えます。
通信教育にはドクター・Pとミミちゃんクラブの2つがあります。
ドクター・Pは、インターネットを使った通信教育で、特に鍵盤楽器は必要なく、インターネットが繋がる環境であれば世界中どこでも受講ができます。
ミミちゃんクラブは、FAXや郵便でやりとりをしながら行う通信教育で、家庭に鍵盤楽器が必要ですが、おうちの方のピアノの知識は必要ありません。
本を参考に絶対音感トレーニングを行う
通信教育よりももっと簡単な方法は、親がプログラムをマスターして子供に絶対音感を付けさせる方法です。
江口寿子・江口彩子/共著『ピアノレッスンを変える(3) 新・絶対音感プログラム』には、絶対音感の指導方法が細かく書かれているため、この本を参考に絶対音感を身に付けることが可能です。
絶対音感のトレーニングは毎日行う必要があり、スクールに通った時にだけやっても身に付かないし、スクールに通ったとしても、自宅で毎日トレーニングをしなければ身に付きません。
なので、スクールに通わなくても本に書かれている指導方法を自宅で実践できれば、確実に絶対音感を身に付けることができます。
息子は、4歳8ヵ月の頃から、私が本を参考に自宅で絶対音感トレーニングを行ってきました。
現在、トレーニングを開始してから1年半が経過したところですが、白鍵は全て単音で聴き当てることができており、黒鍵もあと少しで単音分化できそうなところまできています。
トレーニングを開始した当初は、どの程度トレーニングを行えば絶対音感が身に付くのか想像がつかなかったため、不安になることがありました。
それでもこの本を信じ毎日継続してトレーニングをした結果、絶対音感をつける子供の姿を見ることができました。
6歳になる直前にピアノ教室にも通い始め、ピアノの先生から子供の耳がとても良いとほめられました。
絶対音感と相対音感の違い
絶対音感とは、基準の音がなくても音が分かる能力のことです。
相対音感とは、基準の音と他の音を比較して音の高さを判断する能力です。
絶対音感と相対音感は、音の判断の仕方が全く異なります。
どちらが優れているということはなく、どちらも重要な能力です。
大人はいくらトレーニングをしても絶対音感を身に付けることはできませんが、相対音感はトレーニング次第でどの年齢でも身に付けることができます。
絶対音感が身に付かないと嘆かなくても大丈夫です。大人は相対音感のトレーニングを行えばいいです。
絶対音感ではなく相対音感でもいいのか
絶対音感と相対音感は、全く別のものであると考えるべきであり、片方があればもう片方は必要ないというものではありません。
両方を身に付け、必要に応じてそれぞれの音感を使える状態がベストです。
絶対音感だけを持っていて相対音感がないと、ピッチがいつもと違う楽器だと気持ちが悪くて弾けない、という事態がおこってしまいます。
絶対音感を持っている人の割合
江口氏によると、絶対音感を持っている人の割合は、わずか0.2~0.5%です。
例えて言うなら、東京ドームの収容人数55000人中11人が絶対音感を持っていることになります。
非常にまれな能力でありながら、6歳半までにトレーニングを始めれば誰もが習得できることがわかっています。
まとめ
【江口式絶対音感とは?本でも学べる旗を使ったトレーニング方法を紹介!】についてお伝えしてきました。
絶対音感を持っている人の割合は、わずか0.2~0.5%。
絶対音感を身に付けさせたいなら、6歳半までにトレーニングを開始するといいです。
確実に絶対音感を身に付けられる方法は、江口式絶対音感プログラムの他にはないです。
江口式絶対音感プログラムで絶対音感をつける方法は、教室に通うか、通信教育を受講するか、本を参考に自宅で親が子供にトレーニングを行うかの3つがあります。
絶対音感と相対音感は、音の判断の仕方が全く異なります。どちらが優れているということはなく、両方を身に付け、必要に応じてそれぞれの音感を使える状態がベストです。
将来のために、絶対音感をお子さんにプレゼントしてみてはいかがでしょうか。